カウンセリングでは
ご本人の困っている気持ちを聴き、理解し、
感情レベルでそれを受け止めて共有しようとする局面(共感)と、
その困っている状態から抜け出すための解決法について
話し合う局面(解決策の模索)とがあります。
共感と、解決策の模索の間には若干の断絶があり、
気持ちを共有してもらいたい段階で
解決策の話し合いを持ち出されると、
十分に気持ちを受け止めてもらえていないような感覚になりますし、
一方「ところでどうすればいいか」と解決策に関心が向いているときに、
気持ちの共有しようとじっくりと聴かれていると、
物足りなく感じたりします。
この辺りの難しさについて
一方的に結論付けて、
「共感なんてしていてもムダ」と言い切ったり、
反対に「話を聞いてもらいたい人は解決策を求めているわけではない。
ただ聴いてほしいものなのだ」と言い切ったりする
言い方もありますが、
どちらも短絡的であるように思います。
人は困りごとを話す場合は、
まずはゆっくり気持ちを受け止めてもらいたいものだし
(それだけで非常にうまくいくケースもあるでしょう)、
次いで少し落ち着くと、
その困った状況から抜け出す方法についても
話し合いたいものだと思います。
今、共感を求めているのか、
解決策の模索を求めているのか、
その最適なラインはその都度その都度変わるもので、
確実は見極めはとても難しいものですが、
大切なのは、
「ところで今、どちらの対応が
あなたの気持ちにぴったり合うだろうか」と素直に話し合える
カウンセラーとクライエントの関係性そのものだと
思います。
(心理士 清見)