10代で出会ったクライアント達

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
8月も下旬に入りましたが、真夏のように暑い毎日が続いています。
水分・塩分を適度に補給して、熱中症予防に気を付けたいですね。


さて、今回のテーマは「10代で出会ったクライアント達」です。

民法の成人年齢が、2022年4月から18歳になります。
そう言えば、選挙権が18歳からになり大学の中に投票所が設けられたことが話題になりました。
社会で“大人”として扱われる年齢の線引きが、変わりつつあります。

その一方で、少年法については適用年齢を18歳未満に引き下げるか、現行の20歳未満のままにするか、法令の改正について審議されていました。
8月に入り、現行のままでいくことが与党で合意されたという新聞記事を見つけて安堵しました。

子どもから大人に変わりゆくプロセスには、目に見える身体の変化と、目には見えない心の成長があります。
選挙権が与えられたことにより、社会という外枠から「あなたは選挙権をもつ大人ですよ」と促され、意識が高まり“自分は大人である”と自覚する効果はあると思います。


■10代の“嵐”はずっと続くわけではない

 

しかしながら「でもなぁ…」と思う部分もあります。
私はスクールカウンセラーとしての経験などを通じて、10代で心の迷いや不具合を感じて家庭や学校などの環境に不適応感を持つクライアントに出会ってきました。
10代のクライアントならではの頑なさやエネルギー量の多さ、時に衝動的で向こう見ずな様子を覚えています。
周囲の大人達の困った表情を見るために、否定的な態度をとる子もいました。

しかしカウンセリングを通じて、年齢を重ねるにつれて変化していくということも経験しています。
10代後半でこころの中に嵐が巻き起こり、かなり変わった言動で回りの大人を驚かせたエピソードを持つことがあっても、3年後、5年後に涼しい顔をして“現在の話”をするクライアントに、当時の面影はありません。

もちろん現在も悩みや葛藤は抱えていますが、それを表現する形が大きく変化しています。

ですから、せめて10代は時に失敗があっても、対処として教育的な関りや、彼らを見守り成長を待つ機関があって欲しい、とも思います。
そう思うのは、私だけではないでしょう。

(臨床心理士 調)

 

PAGE TOP