自分を表現するのはワガママではありません-福岡臨床心理オフィスの臨床心理士によるブログ-

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
2月に入り、冷え込む日々が続いていますが、風邪などにはくれぐれもお気を付けください。

さて、本日は「自分を表現すること」について、綴りたいと思います。
あなたは“自己主張”という言葉を聞いて、どのようなイメージを持ちますか?
自己主張とは、自分の意見や欲求を他人に伝えることですが、中にはそれを「ワガママ」だと思っている方がいらっしゃるかもしれません。
自己主張とは本当に「ワガママ」なのでしょうか。ちょっと一緒に考えてみませんか。

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■相手の希望を通してばかりなのは“依存的”!?

 

私は時折、クライアントに本を紹介することがあります。今回ここで紹介するのは『自己カウンセリングとアサーションのすすめ』(平木典子・著/金子書房発行)です。
その本を読んだクライアントの中で、何人かがある特定の部分に「驚きを感じた」との感想を寄せてくれました。

同書の中では、自己表現の方法が大きく3つに分けられると書かれています。

  1. 不十分な自己表現
  2. 過剰な自己表現
  3. 適切な自己表現

このうちの「不十分な自己表現・・・非主張的な自己表現には相手の言っていることを優先し、受け入れて合わせるという意味があります。それは相手任せで依存的な態度と言えるでしょう」という意味のことが述べられている箇所に対して、クライアントは驚きを感じたそうです。

どうやら「自分の意見を言わず、相手に合わせて相手の考えを優先する」というやり方について

    • 「自分はワガママを言わず我慢している」
    • 「相手は言い分を通してもらって有り難いだろう」

と思っていたのに、それが「依存的なやり方」だと言われて驚いたようです。
相手の意見に合わせることで余計な摩擦を起こさない、黙って譲る方がスムーズに物事が運ぶ…そのような思いで相手の考えを優先させてきたのに、それが“依存的”であると指摘されたのは、確かにショックかもしれませんね。

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この依存的なやり方の欠点として挙げられるのが、“自分が薄くなる”“自分の気持ちに気付きにくくなる”ということです。
私がカウンセリングの中で、「もっと自分を濃くしていきましょう」ということばを時々使います。
では「自分を濃くする」とは、どのようなことなのでしょうか。


■自分らしさを理解して人間関係を円滑に

 

「自分を濃くする」とは、自分の中にある好き嫌いを理解し、さまざまな感情や葛藤があることを理解して、それが自分であると認めることです。
自分を濃くしていくと、ワガママで自己中心的な人間になっていくような不安があるかもしれません。

いいえ、それは反対でしょう。

自分を濃くして、自分自身の気持ちをつかむことが上手くなれば、自分らしさの理解に繋がります。
自分らしさを理解すれば、それを尊重する方向へいきます。そうすると、他人の「その人らしさ」に対しても尊重するようになるのです。
「自分に自分らしさがあるように、他人にもその人らしさがある」と理解し、他人に対して寛容になれるのです。それは、円滑な人間関係を築くことにも繋がります。

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自己理解が深まれば、その表現方法にも気を付けるようになるでしょう。
「自分らしさ」を他人に対して押し付けるのではなく、お互いに尊重しながら良い表現を模索するようになる…。
そういった内容の事が、『自己カウンセリングとアサーションのすすめ』で紹介されています。

2003年に購入した本ですが、再び読み返して「やはり良い本だ」と思いました。
自分が何者なのかがよく分からなくなったり、もう少し自分らしさを表現したくなった時にお勧めの一冊です。

(臨床心理士 調)

 

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