人との話し合いが上手くいく時、いかない時-福岡臨床心理オフィスの臨床心理士によるブログ-

こんにちは、福岡臨床心理オフィスです。
美しく咲き誇る紫陽花の姿を目にすると、本格的な梅雨の訪れを感じます。雨の日は気分が沈みがちですが、好きなアロマの香りやお気に入りの飲み物などで、少しでも気分よく過ごしたいものです。

さて、毎回「こころ」や「HSP」「ヤングケアラー」など、心理に関するさまざまなことをテーマにお届けしている当ブログ。今回は「人との話し合いが上手くいく時、いかない時」と題して、より良いコミュニケーションを図るために必要な能力について触れたいと思います。

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円滑に話し合いを進めるために必要な能力とは

人との話し合いが上手くいくためには、相手の話を聞く能力が必要だと思います。
例えばここに、AさんとBさんという2人がいるとします。
AさんはBさんに指示を伝えるため、背後にある状況の理解を促そうとしていますが、BさんはAさんの「伝えようとする」努力に対して無関心で、話の文脈を理解しようとしません。それどころか、Aさんの言葉尻を批判的に捉え、いわゆる「重箱の隅をつつく」ように反論します。
2人の話し合いは深まりや納得を生まず、社会的立場が上にあるAさんは話し合うのをやめて通達するのみとなりました。

このような話し合いで分かるのは、AさんとBさんが有益な話し合いをするためには、お互いに相手の話を聞く能力や、努力が要るということでしょう。その上で、自分の意見が爽やかに伝えられると素敵な話し合いになります。

「人の話を聞く」というのは、文脈を理解する事です。
その文脈を理解するためには、トレーニングとして文学を読むことが良いと言われています

なぜ「文学」を読むことが良いのでしょうか。
それは、実用書あるいはビジネス啓発本、エッセイ本には目次があり形式が決まっているので、“要約”して読めます。

しかし、文学は文脈を理解し、行間を読む必要があります。文学を楽しみ、その世界に浸るということは「文脈を理解する・行間を読む」能力を鍛えることになります

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「敷衍の力」を鍛えてコミュニケーション力を上げる

ところで皆さんは、「敷衍(ふえん)」という言葉をご存じでしょうか。
「敷衍」とは、『デジタル大辞泉』によると

1 おし広げること。
「それを種にして、空想で―した愚痴」〈宇野浩二・蔵の中〉
2 意味・趣旨をおし広げて説明すること。例などをあげて、くわしく説明すること。「教育問題を社会全般に―して論じる」

と説明されています。

作家・元外務省主席分析官である佐藤優氏は、『文脈を理解する力を向上させるためには「敷衍」の力が必要である』と指摘しています。
私は、その指摘に「ごもっとも」と感心しました。

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例のようにBさんがAさんの話に対して攻撃的な場合は、

①Aさんが敷衍の力をより使って説明するのか
②Bさんが話を理解する(行間を読む)能力を上げていく事が必要か
③BさんがAさんに対して感情的になって拒否しているのか

を見極める必要があります。

今回、私は「敷衍」という新しい意味のあることばに出会って、嬉しく思いました。
「敷衍の力」を鍛えて、より良いコミュニケーションがとれるように願っています。

(臨床心理士 調)

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