こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
2023年の始まりは晴天に恵まれ、例年よりも暖かかった気がします。年末年始にかけて忙しく過ごした人も多いかと思いますが、健康管理には気を付けたいものです。
ところで、お正月休みの間に映画や読書などを楽しんだ人もいるのではないでしょうか。
今回は「感動することに生きる意味があるのかもしれない」と題してお届けしたいと思います。
昨年、私が感動した出来事は…
人生経験を重ねるにつれて、最近は感動する瞬間が短くなってきたと感じることが増えました。
しかし、心の中から感動する気持ちがじわっと膨らんだ時には「その感情を惜しみなく感じよう」と決めています。
昨年、私が感動したこととして思い出すのは、7月にキャナルシティ劇場で観たあるコンサートでの出来事です。
リニューアルしたキャナルシティ劇場でその日開催されたのは、ある有名なジャズミュージシャンのトリビュートコンサートでした。
最後に演奏された曲の美しさに、勝手に涙がこぼれていました。そして、気付けば見知らぬ隣の席の人と「美しい音でしたね」と感想を述べあっていました。
隣の席にいたのは音大の学生さんだそうで、同じ音楽に感動したことをきっかけに色々と話をしました。
次に思い出すのは、毎年足を運んでいる長野県への旅行で起きた出来事です。
長野県を訪れる度に「上高地へ行きたい」と思っていましたが、天候などの影響でなかなか行くチャンスに恵まれませんでした。しかし昨年は気象条件が整い、上高地で晴れ渡る空にそびえる北アルプスや河童橋を見ることが出来ました。
そして最後は、久しぶりに電話で話した友人とのやり取りでのことです。
電話はごく短い時間でしたが、友人が私の気持ちを汲み取ってくれたことをしみじみと感じるような内容でした。相手への感謝や嬉しい気持ちが、心の中にじんわりと広がっていくことを実感しました。
こうした、心を動かすのに十分な出会いや出来事があると、心の中が明るい光で満たされるように思います。
苦しみが多い人生にこそ感動で心に栄養を
生きていくということは、不確実で不安がいっぱいでしょう。
仏教用語に「四苦八苦」という言葉があります。この“四苦”は「生老病死(しょうろうびょうし)」のことで、人生において逃れられない4つの“必然的な苦しみ”です。
これに「愛別離苦(あいべつりく)」「怨憎会苦(おんぞうえく)」「求不得苦(ぐふとくく)」「五陰盛苦(ごおんじょうく)」を加えて、人間として味わう精神的な苦しみを表す言葉が「四苦八苦」なのです。
それらに苦しむのは、修練であるのでしょう。
であるとすれば、感動することは自ら求めて行って良いのかもしれません。
せっかく生きているのですから、心に“感動”という栄養を与えていくのも良さそうです。
(臨床心理士 調)