こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
8月が過ぎ去ろうとしていますが、しばらくは猛暑日が続きそうな気配です。
9月に入っても、熱中症には注意したいものです。
さて、毎回“こころ”に関する様々な話題を、臨床心理士ならではの目線でお届けしている当ブログ。
今回は、夫婦カウンセリング(カップルカウンセリング)で多い問題について綴りたいと思います。
人間関係の悩みの中で多い、夫婦(カップル)の問題
当オフィスのクライアントさんの約半数は、人間関係が上手くいかないことを悩み、どのようにしたら良いか考えてみたいという主訴で来所されています。
中でも多いのが、夫婦カウンセリング(カップルカウンセリング)です。
2人一緒に来られる場合もありますし、どちらか片方から相談されることもあります。
片方からの相談である場合は、比較的気持ちに余裕がある方の人や、相談することに慣れている方の人が多い印象です。
福岡臨床心理オフィスが開所してから、何組もの夫婦カウンセリングを行ってきました。
そのうちに、共通する問題があることに気付きました。
夫婦(カップル)カウンセリングで見えてきた問題とは
現在の社会は、多くの夫婦(カップル)が共働きであり、平日は仕事を終えて帰宅し、それから夕食の準備をする人が少なくないでしょう。
早く帰宅した方が作ったり、当番制だったり、全くバラバラだったり…。
興味深い話として、
その形は夫婦によって様々だと思います。
問題が起こりがちなのは、夫婦の帰宅時間がほぼ同じであるにも関わらず、夕食作りが妻の役割にほぼ決まっている場合です。
夕食の用意をするのが妻側に偏っている主な原因として、
・夫側が「料理を作るのは妻(女性)の仕事(役割)」と思い込んでいる
・妻(女性)側が「料理は妻(女性)である自分が作らなくては」と思い込んでいる
ことが挙げられるでしょう。
また、「稼ぎがあるのは夫だから、妻の自分(女性)は辛抱するべき」とい
妻が不機嫌になるのはなぜ?
夕食作りが妻側の仕事になっている場合、妻は仕事から帰ってすぐに夕食の準備に取り掛かります。
仮に定点カメラで夫婦の姿を撮影するとしたら、妻は帰宅後に息をつく暇もなくタカタカと早いリズムで動き回っていることでしょう。
一方、夫は帰宅後は入浴したり、ソファーに寝転んでスマホでYouTubeを見たりして、ゆったりとしたリズムで自分の時間を過ごしているかもしれません。
同じ空間にいる2人ですが、お互いのリズムはバラバラ…。果たして調和がとれている状態でしょうか?
妻側が不機嫌になるのは、そのような時間帯なのです。
仕事で肉体的・精神的に疲れているうえに、空腹であるのもイライラ感を強くする一因でしょう。
夕食準備の時間を夫婦にとって不機嫌な時間にしないために
妻側の不機嫌を言葉にするならば
「私だって仕事で疲れているのに、なぜあなただけゆっくりのんびりしているの?」といった感じでしょうか。
夕食の準備をする妻の表情が次第に険しくなり、キッチンに張り詰めた空気が漂っていく…。
このような時、夫側の思いとして多いのが
“いつも気が付くと妻が怒ったような顔をしていて、不機嫌そうなオーラを出している。下手なことを言うとますます怒らせてしまうかもしれない。自分は仕事で疲れているのに、不機嫌は勘弁してほしい”。
というものです。
そして夕食ができると、妻側も気を取り直して何事も無かったかのように食べる…。
平日にそのようなことが繰り返されているならば、「この時間を2人にとって不機嫌にしない」ための決意や、対策を話し合う必要があるかもしれません。
子どもがいる場合も同じだと言えます。
家族揃って夕食を摂る場合、その時間は夫婦と子どもが落ち着いて顔を合わせ、語り合える短いひとときです。
子どもが大きくなって、幼い頃の食卓の光景を思い出した時に、真っ先に思い浮かぶのが「夕食時間のお母さんはイライラして不機嫌だった」という記憶だとしたら、残念なことです。
子どもにとって大切な時間に、大人が不機嫌な空気を出さないように工夫することが大事でしょう。
夫婦でもお互いの頭の中を理解するには工夫が要る
夫側、あるいは妻側、もしくは両方が「●●は自分(相手)がやらなくてはならない」と、相手に確認しないまま思い込み、そのまま時間を重ねるよりも、立ち止まって話し合い、思い込みを解消して「
「気付くだろう」「分かってくれるだろう」のままでは、すれ違いが解消されることは少ないでしょう。
夫婦(カップル)でしっかり話をして、お互いが疲れない、不機嫌にならないための工夫や過ごし方を決めましょう。
(臨床心理士 調)