こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
11月に入った途端、秋ならではの不安定な天気や激しい気温差が続きました。
自分の身体の調子を観察しながら、忙しくなるこれからの時期を乗り切りたいものです。
さて、毎回“こころ”を軸に様々な話題をお届けしている当ブログ。
今回は、心が少し疲れている時にピッタリのドラマ『天狗の台所』をご紹介したいと思います。
「天狗の台所」とは
昨年2023年10月に、BS-TBSで1作目が放送された『天狗の台所』。
2024年10月22日からは『天狗の台所 Season2』の放送がスタートし、BS-TBSで火曜9時
無料配信動画サービスTverでも、配信されています。
■天狗の台所
ニューヨーク育ちの14歳の天狗の末裔・オン。
オンは、天狗の家系で守られている「14歳の1年間、世俗を離れて隠遁生活を送る」というしきたりを守るため、日本で暮らす兄の飯綱基(いづなもとい)の元に身を寄せます。
美しい自然に囲まれた環境で、オンと基、そして2人を取り巻く仲間たち(言葉を話すイヌを含む)のファンタジックで優しい、スローライフな日々が描かれる物語。
原作は田中相さんによる漫画作品で、2021年11月号から月刊アフタヌーン(講談社)で連載中です。
いわゆる異世界転生ものですが、物語は古民家を舞台に展開され、どこかノスタルジックな雰囲気です。
ドラマの最初に映し出される山や畑、空の美しさ!画面越しにもかかわらず、深呼吸がしたくなります。
撮影されているのは静岡県にある古民家とのことで、懐かしい気持ちになるのも納得でした。
美味しそうな食べ物と心地良いリズム感
特筆すべきドラマの魅力は、料理に関連するシーンです。
食材そのものの艶や質感、調理する場面で食材が焼ける音、鍋の中でコトコト煮立つ様子、そして完成した料理の美味しそうなこと!
ドラマとは思えないほど光の陰影が美しく、1つ1つのシーンが印象的です。
さらにドラマの魅力を引き立てているのが、リズム感の良さです。
ドラマの長さは約30分間で、最初から最後まで心地良いテンポが保たれたまま、物語が進んでいきます。
オンたちが野菜の種を植え、育った野菜をチョキンとハサミで切って収穫する場面や、それを丁寧に料理するシーンも気持ち良く感じるリズムで展開されていきます。
出来上がった料理を食べる時の「いただきます」「召し上がれ」という何気ない言葉のやり取りが耳に優しく響き、心をじんわりと解してくれるのです。
私たちの生活に必要なモノとは?
ニューヨーク育ちの今どきの少年であるオンが、日本の自然豊かな(決して便利ではない)環境で様々な生命の息吹を感じ、その尊さを学びながら大人へと成長する“希望の物語”である部分と、天狗の末裔が住む美しい地がいつまで保たれるのだろうか…という、儚さを感じる部分が織り交ざっているのも、物語に深みを与えています。
そんな『天狗の台所』を観ながら、ふと「私たちが生きていくために必要なモノって何だったかな…」と日常を見渡しました。
とりあえずは「目の前にある食べ物を丁寧に取り扱い、その味わいを舌に刻もう」。そんな気持ちが生まれます。
ドラマのようなスローライフをそのまま実践することは難しくても、出来る部分はとり入れる意識を持ちたいものです。
(臨床心理士 調)