PFスタディという心理検査の興味深さ | 福岡臨床心理オフィスの臨床心理士によるブログ

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
7月に入り、本格的に暑い日々が増えてきました。
日傘やエアコンなどを活用し、暑さによる体調不良に気を付けて過ごしたいものです。

さて、毎回“こころ”に関する話題をお届けしている当ブログ。
今回は、当オフィスでも使用している心理検査のひとつ「PFスタディ」についてご紹介します。

少し専門的なお話になりますが、心理検査に興味のある方や、ご自身の傾向を知りたい方にとって、きっと興味深い内容になるかと思います。

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PFスタディとはどんな検査?

当オフィスで使用している人格検査の中に、「PFスタディ(P-F Study)」という検査法があります。私自身、とても興味深く感じている検査の一つです。

PFスタディ(正式名称:Pictures-Frustration Study)は、フラストレーション(欲求不満)を感じたとき、人がどのように反応する傾向があるのかを探る心理検査です。

この検査は、アメリカの心理学者ローゼンツヴァイク(Rosenzweig, S.)によって開発されたもので、「投影法」と呼ばれる心理検査の一種です。

投影法とは、あいまいな刺激に対する反応を通して、その人の内面やパーソナリティを読み取る手法であり、本人も気づいていない心の側面が表れることがあります。

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PFスタディでは、全24枚のイラストが用いられます。
各イラストは、日常生活で起こり得る場面を描いており、2人の人物が登場します。
左側の人物(A)が、右側の人物(B)に対して不満を感じさせるような言葉を投げかけます。
Bの返答部分は空欄になっており、被験者はそこに「自分なら何と言うか」を自由に書き込む形式です。

例えば、以下のような場面です:

A「もう時間なのに、まだできてないの?」
B「(    )」

イラストに登場する人物の表情は、あえて詳細には描かれていません。
これは、絵の印象によって特定の反応を誘導しないようにするためで、受け手の「こころの反応」がより素直に表れやすくなるよう設計されています。


見えてくるのは「対人場面での反応のパターン」

PFスタディでは、被験者が自分自身を、イラスト内で欲求不満を感じている人物(B)と同一視し、そのときの反応パターンを投影すると考えられています。

その結果、相手を責める返答、自分を責める返答、またはその場をやり過ごす返答など、様々な反応が現れます。

これらの反応を通じて、その人が困難や葛藤に直面したときにどのように対処しやすいか、人との関わり方にどのような傾向があるかを探ることが可能です。

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フラストレーションへの3つの代表的な反応スタイル

PFスタディで読み取る反応パターンは、主に次の3つの方向性に分類されます。

1. 他責型(外罰型)

フラストレーションの原因を他者や環境のせいにするタイプの反応です。

例:「なんでそんなこと言うの?」「あなたが悪いんじゃない?」

→ 怒りや不満を外に向けやすい傾向が見られます。

2. 自責型(内罰型)

原因を自分自身のせいだと考える反応です。

例:「ごめんなさい」「自分が何とかしよう」

→ 自分を責める傾向や、対人場面での遠慮が強い人に見られることがあります。

3. 無責型(無罰型)

誰のせいにもしないで、問題そのものをやり過ごそうとするスタイルです。

例:「まあ仕方ないね」「次はうまくやろう」

→ 問題から目をそらしたり、時の流れにゆだねたり、前向きに切り替えるなどケースによってさまざまな形を取ります。

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検査からわかること、見えてくる傾向

私がこの検査で特に興味深いと感じるのは、「他責・自責・無責」の反応パーセンテージが平均から大きく偏るケースがあることです。

その偏りから、ストレス下でその人がどのように対処しやすいかを推測できるだけでなく、PFスタディ独自の尺度である「自我阻害(Ego-blocking)」や「超自我阻害(Superego-blocking)」における反応の違いも把握できます。

(※自我阻害は自己防衛の一種で、自我機能が抑制される状態を指し、超自我阻害は自己批判的・道徳的な抑圧が強まる状態を指します。)

もちろん、どの反応が良い・悪いというわけではありません。
大切なのは、自分の傾向を理解し、必要に応じて対応の幅を広げていくことです。

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PFスタディの背景には、ローゼンツヴァイク博士の人格理論や、膨大な研究データの蓄積があります。

そのような理論と実証を土台にした検査を行うことで、ある一面の「こころ」が、あらためて“見える化”されること…そこに、私は大きな意味と興味深さを感じています。

(臨床心理士 調)

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