こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
秋になり、朝晩の風に少し肌寒さを感じるようになりました。
皆さまはいかがお過ごしでしょうか。
さて、毎回“こころ”に関する話題をお届けしている当ブログ。
今回は、今や一般的な言葉となった“推し活”をテーマに、私自身の経験を交えながら綴りたいと思います。

心を満たす、音楽の時間の豊かさ
秋の気配が訪れた中で、楽器の生の音が聴きたくなりました。
そこで私は、ギターとアコーディオンのデュオによるカフェライブや、大濠能楽堂で開催された弦楽四重奏のコンサートへ足を運びました。
同じ空間で聴く、生ならではの楽器の響きに惚れ惚れと聞き入り、このような時間がもてたことを幸せに感じました。

私は、どちらかと言うと、人の歌声よりも楽器の音色に惹かれるタイプであると思っています。
楽器の音色を身体で受け止めながら、時間の流れがいつもと違うルートを辿っているように感じます。
しかし、そんな私を昨年から魅了しているのが、英国のある女性アーティストの歌声です。
彼女のサラウンドは歌声と楽器のバランスが絶妙で、声が楽器の一つであるかのように美しく響いています。
声と楽器が織りなすハーモニーは、まさに唯一無二のものです。
音楽との偶然の出会いが生んだ広がり
私が彼女の曲を初めて耳にしたのは、何気なく聞いていたFMラジオでした。
新譜紹介で流れた曲を聴き、文字通り“ひと聴き惚れ”して、すぐにCDを購入しました。
その後、彼女のインスタグラムをフォローして世界ツアーのスケジュールをチェックし、初来日に合わせて遠方まで足を運びました。
さらには、彼女のCDを友人へプレゼントしたり、音楽好きの友人にお勧めしたり…。
その後、友人たちが彼女のCDを購入したことを知り、“他の人も彼女を好きになったんだ!”と嬉しく思うと同時に、「あ、これって“推し活”ですよね?」と思いました。

推し活と依存の違いとは?
ここで、“推し活”と“依存”との違いについて考えてみましょう。
私が思う“推し活”は、自分の“好き”を色濃く実感しつつ、好きなアーティストを通して興味が広がったり、コンサートやイベントに足を運ぼうとして気力がアップしたりといった、元気の源になるものです。

一方、依存状態になると、“推し”への想いが強すぎて、日常生活とのバランスが崩れてしまいます。
“推し活をしなければ何も手につかない”という状態になると、「衝動を制御できない」という病的な領域に入りかけています。
人によっては精神面だけでなく経済的にも無理をして“推し”に捧げるケースがあるかもしれません。
ほど良いコントロール下では満足できず、次々と行動してしまう場合は、そのコントロールのできなさに悩むことになるでしょう。
そんな時は、私たち臨床心理士など専門家への相談がおすすめです。
あなたの“推し活”が、人生をより豊かにするものであるように願っています。
(臨床心理士 調)


