こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
11月も下旬に入り、街路樹の葉が赤や黄色に染まる季節になりました。
朝夕の冷え込みに、冬の足音を感じています。
さて、毎回“こころ”に関する話題をお届けしている当ブログ。
今回は、先日参加した「日本催眠医学心理学会」で感じたことを綴りたいと思います。

催眠をめぐる素朴な疑問から
「日本催眠医学心理学会」は、九州大学病院内で開催され、今回が71回目でした。
長い歴史の中で、真面目にコツコツと「催眠」+「医学」+「心理学」の研究と臨床が積み重ねられてきた事実があります。
私は精神分析派の教育を受けた臨床心理士なので、
ところで、皆さんは「催眠」について、どのようなイメージをお持ちですか?
当オフィスの受付スタッフから、ある日こんな質問がありました。
「催眠って、カウンセリングや心理療法とどう関係があるんですか?」
多くの方にとって“催眠”という言葉から連想されるのは、テレビ番組などで見かける“催眠ショー”かもしれません。
催眠術師がタレントに暗示をかけて、後で「何も覚えていない」という演出をするようなものです。
そのため、「不思議」「少し怪しい」という印象を持つ方も少なくないでしょう。

けれども、臨床心理学や医学の領域では、催眠は“科学的に研究されてきた心理的現象”として扱われています。
例えば、催眠は痛みのコントロールやリラクゼーション、ストレス軽減などへの応用が研究されており、心理療法の補助的手法として臨床の場でも利用されています。
心理学的にみる“催眠状態”とは
心理学の分野では、ある刺激や状況によって通常の意識とは異なる状態になることを「変性意識状態(ASC:Altered State of Consciousness)」と呼びます。
これは、通常の覚醒状態とは異なり、注意の焦点が狭まり、知覚・思考・感情などに変化が生じる意識の状態です。
例えば、瞑想によって得られたり、飲酒による酩酊状態だったり、宗教儀式での神秘体験であったりします。

もっと分かりやすく説明すると、音楽に没頭しているときや、絵を描いていて時間を忘れるような集中状態…。
このようなとき、人は一種の“トランス”や“ゾーン”と呼ばれる意識の変化を体験していると言えます。
私自身がASCを自覚したのは、大好きな音楽を生演奏で聴いていた時に、半分は夢うつつ、半分は音のみの世界が広がっているように感じたことがありました。
そして、演奏が終わると現実の意識に戻る…といった経験です。
リラックスした良い気分でした。
日常にある催眠状態への入り口
催眠状態に関連しているエピソードとして、知人から聞いた話があります。
知人が新しい趣味を始めて、それに使用する道具を購入するために販売店を訪れました。
その販売店で、知人は店員さんにその道具の中でも高級な部類に入る製品を用いたパフォーマンスを見せられ、すっかり興奮状態に。
舞い上がった知人は、その道具が欲しくなり、配偶者に電話をしたそうです。
しかし、趣味で使用するには高級すぎる道具。配偶者に止められ、購入を思いとどまったとのことでした。
この知人は、普段は論理的で現実的な性格の方です。
後になって、「あの時、自分は騙されかかっていたのかもしれない」とその時の心理状態を振り返り、「なぜその道具を購入しようと思ったのか」と、不思議に思っている様子でした。
きっと、知人はその時「変性意識状態」の入り口に立っていたのだと思います。
それが“催眠状態の始まり”だと捉えられる知識と気付きがあれば、この状態を利用しようとする相手へクールに応答出来るでしょう。

“信じる言葉”と自分の人生の関係
私たちは誰しも、人生の中で信頼する人からの言葉や指示を受け取って生きています。
それは、親や師、あるいは親友など、心から信用できる相手からのものかもしれません。
その言葉は、自分の生き方や価値観の一部として、知らず知らずのうちに自分の中に根づいていきます。
しかし、ときにそれが「本当に正しいのか」「今の自分にとって最善なのか」を十分に検証しないまま、自分の行動や判断の基準になっていることがあります。

もし、自分の人生が思うように進まないと感じたり、なぜか生きづらさを抱えたりするとき、心のどこかで“その基準への違和感”を抱いているのかもしれません。
そうした違和感を安心して言葉にできるのが、心理カウンセリングの場です。
心理カウンセリング機関では、秘密が守られた安心できる空間で、“こころの専門家”である臨床心理士があなたの話を丁寧に聴き、一緒に「今の自分に合った生き方」を見つめ直すお手伝いをしています。
(臨床心理士 調)



