人はポジティブな感情(陽性の感情)を体験したあとには、
一時的にでモノの見方の視野が広がり、
思考がより柔軟で創造的になったり、
試行錯誤を恐れないチャレンジ行動を取りやすくなったり、
社交性も高まったりすると言われています。
これは例えば、子どもなどにおいてははより顕著で、
不慣れな場面で固まってしまっている子どもがいても、
周囲の大人が配慮して、リラックスさせたり、
笑顔が出るような交流を少し引き出してあげると、
すぐにのびのびと課題や遊びに取り組めるようになったりすることは、
よくあることです。
また大人を対象とした社会心理学の実験でも、
創造力を測定するために開発された課題に取り組む際に、
楽しい内容の映画を見せて楽しい気分になった後で取り組んだ方が、
よりよい成績が出たという結果があったりします。
こうしたことから、
ポジティブな感情を体験することが多いと、
深刻になり過ぎずにチャレンジ行動を取ることが出来たり、
柔軟な発想でより創造的な課題解決を試みたりする機会が増え、
結果的により高いスキルを獲得して行けると言うことができ、
この理論のことを拡張-形成理論と言います。
これに基づくと職場などの雰囲気はギスギスしたものより、
和やかで温かい雰囲気のほうが、一人一人がより成長し、
生産性もあがるということになり、
産業分野のメンタルヘルスでは、重視されている考え方です。
カウンセリングにおいても、
どのように行動すべきかという
頭で理解できる部分だけの話し合いが大切なのではなく、
話しやすい雰囲気で話し、
「理解してもらえた」という気持ちのなかで、
ポジティブな感情を体験しながら
さまざまなことを考えていけることが
とても大切と感じています。
(心理士 清見)