人は心の中にどのような感情を感じていても自由ですし、
感情表現も豊かな方が健康的な場合が多いのは確かですが、
怒りをそのままぶつけるような表現(暴言、暴力)になっているときは、
適切なコントロールを行う必要があります。
怒りの感情をコントロールする責任は、
もちろん怒っている本人にあります。
この前提をはずすことは絶対にできませんが、
しかし周囲の人間も協力することはできます。
怒りは確かに本人自身のものではありますが、
周囲の人間との関係性の中で
生じたり、和らいだりするものでもあるからです。
アンガーマネジメント(怒りのマネジメント)の技法を本人が身につけて、
実行しようとしている際には、
怒りを抑えようとしている本人の努力に対し、
周囲の人間が好意的なまなざしを持っていることが
ひじょうに大切です。
ただしそれが逆利用されるようになって、
もうすぐ怒りそうになっているというだけで、
本人が「自分はいま怒りを抑えようとしているところだから黙っていて!」などと
話し合いを拒否するようになり、
周囲としては実際に怒りをぶつけられるまでもなく黙るしかなくなるという
関係性になってしまうと、
それはかえって逆効果です。
生々しい怒りがすぎさって、
落ち着くことが出来たあとには、
双方で冷静に話し合い、感情の行き違いをていねいに整理しておく必要があります。
どちかが我慢するだけの関係では、
本当に安定することはないでしょう。
アンガーマネジメントは、
そういった事後の冷静な話し合いのコツまでを
含んだプロセスと言えるでしょう。
(心理士 清見)