こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
11月に入り、本格的な秋の訪れを感じるようになりました。山に目をやれば、美しく色付きつつある木々が飛び込んできます。
季節の移ろいに思いを馳せるようなひとときも、時には大切な事ですね。
さて、本日は「場所がある意味」をテーマに書きたいと思います。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、オンライン化が急速に進みました。
これまで対面で行っていたことが「オンラインで十分済ませられる」ことが分かった現在、なぜ敢えて様々な“場所”を作る意味があるのかについて、考えたいと思います。
■大きく生まれ変わろうとしている博多駅周辺
福岡臨床心理オフィスがある博多駅周辺では「博多コネクティッド」が進められています。
これは博多駅の周辺500m以内を対象に交通環境や広場を再整備し、回遊性を高めることで博多駅周辺エリアをより魅力的にするというものです。
当オフィスのご近所にある「福岡県東総合庁舎」はレトロな雰囲気が漂うレンガ色のビルですが、来年春に始まる新施設工事に向けて、現在取り壊し中です。
また、以前はボーリング場やイベント会場として福岡市民に親しまれた「博多スターレーン」跡では、少し大きめの複合オフィスビルの建設工事が進められています。広さ4,900㎡の敷地に、地上10階建てのビルが来年7月に開業予定です。
通勤途中に工事現場を見ると、防護壁の壁面には完成予想図のイラストが描かれています。
ビルのエントランス正面には南側広場、1階には植栽とオープンスペースがあり、建物自体は道路から少し奥まった場所に建てられるようです。屋上は人が出入りできるようデザインされていて、そこに人々が集う様子や椅子なども描かれています。
コロナ禍を経験した私たちは、自宅にいながらでもオンラインで仕事ができることが可能であり、zoomの会議でもかなりのことを話し合えると知りました。また、自宅以外の場所であっても、講習会などを受講できることを体験しました。
それらの経験をした上で、「その場所がある意味」を意識していきたいものです。
■“場所”を作り、継続させる意味とは?
私には週に1度、福岡市内の大学へ仕事で行く機会がありますが、足を運ぶたびに大学のキャンパスはゆとりある広さがあり、道には木々が植えられていて目に優しく、建物も美しいと感じます。
レンガの壁からは歴史を感じられますし、「この場で学生はインスパイア(刺激)される」「感受性豊かに育つよう、願いが込められている」と思うようになりました。
と同時に、大学や大学院がオンラインだけになっては、その場が持つ“宝”が学生の成長に生かされないとも感じました。
だとすると、その場を何のために作るのでしょう?
“場”の役割を考える人がいて、その目的にかなうデザインがあり、建築があり、建築される中でも多くの人の労力や思いがあります。
そして、その場を磨くのはそれを運用する人や利用する人なのかもしれません。
その場にある建築物や1つの部屋という無機質なものを、大事に営む誰かが居続けることで、その場所独特の意味が感じられるのだろうと思っています。
(臨床心理士 調)