人生における変化がストレスの原因になる?-福岡臨床心理オフィス・臨床心理士によるブログ-

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
新緑が目に眩しい今日この頃、早くも夏の気配を感じるほど気温が上昇する日が増えました。
新型コロナウイルスの感染拡大に配慮しつつ、この時季ならではの美しい自然や楽しいイベントを満喫したいものです。

さて、今回のテーマは「人生における変化の受け止め方」です。
この春に生活の変化があった方は、ぜひご一読ください。

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あなたの新生活は「ワクワク」?「不安」?


新年度に入ってから、約一カ月。新たな場所で生活を始めた人や職場での配置転換があった人は、日々新しい暮らしに適応するように1日1日を過ごしていることと思います。

「新しい生活」を、大人の例で具体的に挙げると

  • 転勤(それに転居が伴う場合もあり)
  • 部署の移動(昇進が重なる場合もあり)
  • 大学や専門学校への入学(それに転居が伴う場合もあり)
  • 1人暮らしになった
  • 配偶者の転勤に伴い、家族で転居
  • 配偶者が単身赴任になったため、別居
  • 退職

などでしょうか。

新たな生活に対して「ワクワク」「ドキドキ」「不安」といった感情を抱いている人も多いかと思います。
この中で「不安」な気持ちを持っている人がストレスを感じるということは容易に想像がつきますが、「ワクワク」「ドキドキ」といったマイナスでない思いを持っている人でも、実はストレスをためている可能性がありそうです。

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新しい体験がストレスの原因になることも

 

ここで、人生(生活)におけるさまざまな出来事がもたらすストレスを数値化した「社会的再適応評価尺度」について紹介します。
「社会的再適応評価尺度」とは、1968年にワシントン大学(アメリカ)のホームズ博士らが提唱したもので、ライフイベントを0~100までのストレス値で示し、点数の合計値によってストレスに対して再適応に要するエネルギー量を評価します。つまり、ストレスの大きさを評価するものなのです。
ライフイベントの中には「結婚」「妊娠」「特別な業績」といった、一見喜ばしい項目も含まれていますが、たとえ嬉しいイベントであっても人生に大きな変化をもたらす出来事はストレスの原因になります。

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《NIOSH職業性ストレスモデル(吉野聡氏 改編)を基に画像を作成》

 

「社会的再適応評価尺度」はあくまで1968年頃のアメリカ人を対象にしたものですので、現在の日本人にとってはなじみがない出来事も少なくありません。
しかし、大事なのは「ストレスが積み重なっていく」という概念なのです。

新しい出来事は刺激的である同時に、こころへ負担をかけます。選べるものならば、あまり1度に変化を重ねすぎることがないようにしたいものです。
例えば、転勤+転居、結婚+退職+転居など、ついまとめて済ませたくなりますが、出来るならば時期をずらした方がこころへの負担は軽くなります。元々の生活リズムを乱さないように、徐々に変えていくことが大切です。
日々が新しい習慣を作っているのだという気持ちで、過ごしていきましょう。

 


心理的に安心できる場所の大切さ

 

新たな環境がどのような場所であれば、ストレスを感じにくいのでしょうか。
それは「人と人との関係性が程良い距離感を保っている場」です。そのような場所へスッと入ることが出来た人は、ラッキーだと思いましょう。

例えば

  • 気分の浮き沈みが激しい人
  • 自分の不機嫌さを周囲へまき散らす人
  • 人の悪口を言いふらす人

などがいると、周囲の空気もピリピリしてきます。

「人と人との関係性が程良い距離感を保っている場」とは、それぞれの人が相手の考え方や気持ちを尊重している場所。また、「自分の機嫌をちゃんと自分でとれる人」達の集まりでもあります。
出来ることならば、そのような場所で働いたり暮らしたりしたいものですが、もし叶わなかった場合は「安全な場所」を1つ作りましょう。心理的安全性を確保することが、健やかなこころを保つために重要です。

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ちなみに、人の悪口を言う人への対処法については、過去に当ブログで書いております。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

新たな暮らしで抱えるストレスを軽減できるよう、自分のこころと向き合う時間を大切にしたいですね。

(臨床心理士 調)

 

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