こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
4月も後半に入り、初夏の爽やかな風を頬に感じる日が増えました。新緑の美しい緑色が、目も心も穏やかに癒してくれるようです。
さて、当ブログでは“こころ”を軸に、臨床心理士ならではの目線で様々な話題をお届けしています。
今回のテーマは「心身相関」。こころと身体の関係について、綴っていきたいと思います。
食べることは“体内オーケストラ”がハーモニーを奏でること
皆さんは、日常の中できっと当たり前のように“食べる”という行為を行っていると思います。
ここでちょっと“食べる”ことに対して、想像を巡らせてみましょう。
まずは、口の中に食べ物が入ったところから。口の中に入った食べ物は咀嚼され、細かく噛み砕かれた後に喉を通って、胃や腸へと送られます。その途中で栄養や水分が吸収され、それらの栄養分は血液によって全身の隅々にまで運ばれていきます。
私達の内臓や血管のそれぞれを楽器に例えるならば、“食べる”ことは、オーケストラがハーモニーを奏でているようです。
身体の器官一つ一つが機能的に動くことで、食べる→栄養分を消化・吸収する→不要なものを排出する、という流れが滞りなく進められると言えるでしょう。
身体とこころの状態は互いに影響を与える
ところで、私自身の臨床心理士としてのキャリアが始まったのは、総合病院の心療内科でした。
そこで常勤の臨床心理士として働いた影響もあり、「身体とこころは表裏一体」だと思っています。
身体に不調があれば、こころも影響を受けます。逆に、こころに不具合がある場合は、身体も思うように動かなくなるでしょう。
このことを「心身相関」と言います。
近年は“腸活”という言葉に代表されるように、腸内環境を良好な状態に整えることが、全身の健康につながると考えられています。
それはメンタル面においても同様で「腸脳相関」という言葉で表されます。
腸内には、体内にある免疫細胞の約70%が存在し、外部から侵入する細菌やウイルスなどから身体を守ってくれているそうです。
不規則な生活や偏った食生活などによって腸内に悪玉菌が増えると、腸内環境が乱れます。腸内環境が悪くなると便秘気味に。便秘はこころの状態にも悪影響を与えるとされ、ある研究ではうつ病の人の多くが便秘傾向にあることが報告されています。
また、ストレスがたまっていると自律神経がバランスを崩しやすくなり、便秘傾向が強くなって腸内環境が悪化する可能性も。このように、こころと腸の健康は深く関連しているのです。
身体の丈夫さ、こころの丈夫さとは
さて、身体の丈夫さには個人差があります。両親や先祖から受け継いだ遺伝による影響も少なくないでしょう。
身体が丈夫な人は、風邪を滅多にひかない、胃腸を壊さない、大病をしたことがないなど不調になる経験が少ないため、こころが意図したように身体が動く感覚を「当たり前」だと思う傾向があります。
しかしながら、年齢を重ねるうちに身体の動きや丈夫さとこころの間にズレが生じ、“身体が実在している”ことに気付くことが増えてくると思います。
では次に、こころの丈夫さについて目を向けてみましょう。
こころの性質にも、やはり両親や先祖から受け継いだものがある程度はあると考えられます。
それらの恩恵を受けながらも、色々あるのが生きるということであり、“こころが丈夫”を継続できている人は、元来持っている“こころ”を磨いていくことが上手な人かもしれません。
自分の身体とこころをどのようにお世話していくのか。
その手腕を問われ続けるのが人生だと考えると怖いような気がする一方で、心が引き締まりますね。
(臨床心理士 調)