こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
8月も半ばを過ぎましたが、まだまだ暑い日々が続きそうです。室内でも熱中症のリスクはありますので、水分・塩分はしっかり補給するように心がけましょう。
さて、毎回“こころ”に関する話題を様々な角度からお届けしている当ブログ。今回は、ある新聞コラムを題材に、臨床心理士としての立場から“こころのお話”をしたいと思います。
ある日の人生相談コラムを読んで
私が朝の日課にしているのが、新聞を読むことです。
さて今回は、コラムニストのジェーン・スーさんが人生相談コーナーの中で使った言葉をご紹介したいと思います。
特に、この春に人生の決断をして、新しい日々をこつこつと積み上げている最中の方に届けたい言葉です。
ジェーン・スーさんは、作詞家やコラムニストとして雑誌やテレビ、ラジオなど数多くのメディアで活躍されている方で、固定観念にとらわれない現代的な視点から問題の解決を図る姿勢が、女性を中心に数多くの人から支持されています。
そんなジェーン・スーさんが、今回応じた相談を要約すると、下記のような内容です。
相談者は19歳の女性。一回り年上の兄が結婚し、子供も生まれたが心から祝えない。兄は大卒で就職、結婚という“まとも”な人生を歩んでいる。しかし自分は高校中退で通信制の学校に通ってバイト生活を送っている。兄と自分との差が目について嫉妬している。そんな自分が嫌いだ。 |
あなたを叱責し続けるのは誰でしょう?
この悩みに対するジェーン・スーさんの回答を一部抜粋してご紹介します。
~(略)~
俗に言う「まともな人生」を歩む他者を見て、どうして私にはできないのだろう?と悩み、あげくの果てに自分を卑下したことが何度もあります。
~(略)~
少しずつでいいので自分を信用していけば、私の人生もそう悪くはないと思える日が必ずやってくることです。
~(略)~
究極的には、選んだ道を自分で正解にしていくしかありません。(略)間違えたらやり直すこともできます。
~(略)~
相談者さんが気に病んでいるのは「差」ではなく「違い」ですから、そこに優劣はないのです。出典:2022/8/5 毎日新聞・人生相談「幸せそうな兄に嫉妬」
いかがでしょうか?
時々聞く“自分はダメな人間だ”と卑下する時の決まり文句に、「この年齢ならば普通なら〇〇〇して□□□がいて…」や「自分がこの年齢になって、このような生活をしているはずではなかった」ということばがあります。
そこには、俗に言う「まともな人生」を歩む他者と自分を比較して、それらを得ていない自分を厳しく叱責する眼差しがあるのです。
もう、お気付きですよね。この“厳しい叱責”は、あなたが自分自身に対して続けているものだということに。
自分が発する叱責に、私たちはどれだけ傷つき重傷を負っているか…。想像してみると、明らかになるでしょう。何かを選ぶ時は、何かを捨てている現実(それは悲哀を持つか
自分に対する叱責で力が出せずに、ただ時間がすぎていくのか。
それとも、これから過ごす時間をクリエイティブにしていくのか。
自分は“クリエイティブな時間を作り上げていく自由を持っている”と気付けば、選んだ道が正解になっていくのかもしれません。
(臨床心理士 調)