こんにちは、福岡臨床心理オフィスです。
梅雨明けと同時に気温が上がり、暑い日々が続いていますね。
福岡臨床心理オフィスがある博多駅筑紫口の周囲でも、蝉の声が響き渡っています。
今回のテーマは、前回のブログに続いて「緊張・不安と上手に付き合う」です。
前回は緊張・不安が引き起こされるメカニズムについてお話ししました。今回は、緊張から解放されるための具体的な方法についてお話ししたいと思います。
■緊張に対しての具体的な対処法
大部分の人は緊張していることに恥ずかしさを感じ、隠そうとします。しかし、隠そうとすると余計に緊張してしまいます。
具体的な対策法としては、
【心理的対処】
- 自分に自信を持つ
→心を無理に変える必要はありません。少しずつ変える方法を試してみましょう。
相手に対して“良いところを見せよう”と考えるのではなく、ありのままの姿を見せることを意識する=自己開示することを意識してみましょう。 - 建設的な願望に集中する
→例えばプレゼンをする際は、最終目標(=未来のこと)ではなく“今”に目を向けます。
なぜそれを売りたいのか、といった“そもそもの理由”を思い出してみましょう。“良い商品だから使ってほしい”“素晴らしい技術だから共有したい”などではないでしょうか。
もし楽器を演奏するような場面でしたら“曲の良さを知ってほしい”“聴衆に良い音楽を聞かせたい”などでしょうか。
人は、集中すると1つのことにしか意識が向きません。“今”に目を向けることで、余計な不安に襲われなくなるでしょう。 - おまじない言葉を唱える
→「何とかなるさ」「まあ、いいか」「このことで死にはしない」など、自分のためのおまじない言葉を普段から用意しておきましょう。それを繰り返し唱えるうちに心が落ち着き、平常心を取り戻せます。
【身体的対処】
- 手のひらを開いて上に向ける
→緊張していると、無意識のうちに手のひらを握りしめていたりと“閉じる動作”をしがちです。閉じる動作は緊張を生みます。意識して手のひらを広げて上に向けることで身体が緩みます。 - 手が震える時には、ハンカチやペンなどをつかむ
→何かをつかむことで、意識がそちらへ向きます。(1)と同じように身体を緩める方法です。 - 声が震える時には、あごを少し突き出す
→緊張すると、あごが下がって喉が閉じ声が震えます。これも緊張によって身体が閉じるためです。そのため、あごを少し突き出して話すことを意識すると緊張が和らぎます。
また、本番前日にはしっかり眠って朝は軽く身体を動かしましょう。
本番直前はお茶などを飲んでリラックスし、何も考えないようにします。心配が頭をよぎっても、その場を楽しむつもりで挑みましょう。
■緊張に対処するために身体から変えよう
前項で紹介した身体的対処法の中でお伝えした“身体を緩める”ことについて、もう少し掘り下げたいと思います。
緊張すると、人の身体は“戦闘モード”に切り替わります。そうすると危機を回避するために、緊張状態に入る…といった悪循環に陥ります。
そんな悪循環を避けるために大切なのが“自己開示モード”に入ることです。
例えば、
- バンザイや上を見上げるなどの動作をして身体を開く
- ゆっくりと呼吸する
などです。今はマスクを着けている方が多いので、マスクの裏にお気に入りのアロマを吹きかけておくのも良いでしょう。
緊張を解くためには、心と身体の両方からの対策が必要なのです。
緊張対策として、ほかにこんな方法もあります。
- 緊張しても出来ることを決めておく
→例えば「背筋だけは伸ばす」「この一言だけは言う」「笑顔でいよう」など、緊張状態にあっても出来ることを決めておくのも有効です。 - 結果はダメでもプロセスは褒める
→たとえ思うように結果を出せなくても、そこに至るまでの過程をたどった自分を褒めましょう。自分を褒めることで、次に挑戦する気持ちが湧いてきます。
緊張は、人にとって重要なものです。重要なものだから、緊張するのです。
しかし、過度の緊張に悩まされるのは困りますね。今回紹介した対処法を参考にされてはいかがでしょうか。
(臨床心理士 調)