こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
新緑の美しさに目を奪われる季節になりました。もう少しすると、色とりどりの紫陽花が咲き始める頃です。
忙しい日々が続くと、季節の変化に気付きにくくなりがちです。多忙な時ほど、その移ろいを意識して心にゆとりを作りたいものです。
さて、毎回「こころ」について様々な角度からお届けしている本ブログですが、今回は福岡臨床心理オフィスオリジナルの冊子「じぶんトリセツノート」についてお伝えしたいと思います。
「自分を知る」ことの大切さ
つい先日、今年の初め頃から準備をしていた「じぶんトリセツノート」が完成しました。
私が約半年前からカウンセリングで使っている「トリセツノート」の内容をブラッシュアップし、しっかりとしたカラー冊子として制作したものです。
実は4年前にも「トリセツノート」を作っていましたが、文章の記載が多かったことや心理面の質問に偏っていましたので、今回は心身両面からの質問で少しずつ自分と向き合えるようにしました。
A5サイズで、書き込みがしやすいように紙の種類にもこだわりました。
私が「トリセツノート」を制作したのは、十数年前に子どもの発達を診ている精神科医の先生が、子どもたち自身にノートを作らせていると聞いたことが始まりです。
「トリセツノート」は、その名の通り“自分の取り扱い方法を書き出す”ノート。ノートには「あなた」について、様々な質問事項が並んでいます。その質問に答えていくことで、「あなた(自分)自身」について深く理解することが出来るものです。
以前から、私が興味深く眺めているのは「人は“自分”に気が付きにくい」ということです。
3月11日のブログ「心理検査を受けてみたいですか?」の中で「ジョハリの窓」についてお伝えしました。
「ジョハリの窓」とは、自分と他人から見た心理的領域を4つの窓に例えて分類したもので、自分も他人も知っている部分を「開放の窓」、自分は知っているが他人は知らない部分を「秘密の窓」、他人は知っているが自分は知らない部分を「盲点の窓」、自分も他人も知らない部分を「未知の窓」と分け、自己開示度が分かるものです。
「ジョハリの窓」は、自分が秘密にしていることを自覚して受け入れる手助けをするものでもあります。
こころには深さがあり、自分のこころをちゃんと知って、気付いていくことが大切です。自分のこころを知ることで、未熟な部分や弱いところを認めて「まぁ、いいんじゃない?」とありのままの自分を受け入れるプロセスが大切です。
自分の強み・弱みや“自分らしさ”を把握して認めることで、他人の強さや弱さ、“その人らしさ”を尊重できるようになるのです。これは、人間関係を円滑にすることにも繋がります。
「じぶんトリセツノート」の役割とは
「じぶんトリセツノート」では、身体のことからこれまでの経験、仕事のことまで多岐にわたって「あなた(自分)」についてお尋ねしています。
1問1問答えていく中で「そんなこと、じっくり改めて考えたことなかった」と思うことがあるかもしれません。でも、それで良いのです。“これまで気付かなかった自分のことを知る”手助けをするのが「じぶんトリセツノート」の役割なのですから。
全ての質問に回答し終えて答えを見直せば、客観的に自分のことを観察できるでしょう。
「じぶんトリセツノート」は、今後のカウンセリングで使用し、お渡ししていく予定です。
(臨床心理士 調)