「やせ」を求め続けることと健康であることのバランスは?-福岡臨床心理オフィスの臨床心理士によるブログ-

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
真夏の暑さを感じる日が増え、熱帯夜で寝苦しい日も多くなりました。夏は睡眠の質が低下しやすい時季でもあります。睡眠の質が低下すると、身体に不調が出やすくなりますので、深く眠れる生活習慣を心がけたいものです。

毎回、当ブログでは“こころ”に関する話題を臨床心理士ならではの知識や経験を織り交ぜながらお届けしています。今回は「やせ」、摂食障害について思うことを綴ってみました。

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街である女性を見かけて思ったこと

夏になり、半袖やノースリーブ、背中が開いたデザインの服など、この季節ならではのおしゃれを楽しんでいる人々が、街の風景を彩っています。涼し気な色や似合う色の服で装っている姿は、周囲の人にまで元気を届けてくれるようです。

さて、先日私が街を歩いている時の話です。
私の前方を、20代前半と思われるショートパンツ姿の女性が歩いていました。私は彼女と同じ方向に歩きながら、思わずその脚に目を奪われました。

その理由は、彼女の脚があまりにも細かったからです。特に太ももは全身の筋肉量を代表する部分であるにもかかわらず、ふくらはぎとあまり差がない程でした。
脚から全身へ目を移してみると、若者らしい覇気やハツラツさが感じられず、全体的にふらふらとした印象です。「彼女は健康ではないかも…」と思わせる空気を漂わせていました。

“彼女の家族は「痩せすぎだから、もっとご飯を食べなさい」といっているのではないかしら…”。そんなことを私は想像します。
もしかすると、彼女の友人は「足が細すぎるよ、もう少し太い方が良いと思うよ」と言っているかもしれません。

周囲のそのような声に対して、「そうだね、ダイエットはおしまい!」と止められる方が健康的かもしれません。

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2次元の世界に“映える”体型を求めて

私たち人間の祖先は、食料を得る目的で冒険をして、道具を作り、そして他の人と協力して獲物を狩り、それを分かち合う営みを続けてきました。その歴史は何十万年と長いことが知られています。

人類の長い歴史に比較すれば、この2000年間は短い期間です。しかし変化は著しく、特にこの50年間、20年間は様々なことが大きく変わりました。
そして、コロナ禍に見舞われた3年間は行動に制限がかかり、身体的な接触が減ってスマホやパソコン上での“2次元(平面)の世界の関わり”が増えました。

2次元の世界は、3次元の立体の世界よりも情報量が少なくなります。そのため平面(写真や動画)上で“映える”、つまり生身の人間からあふれる健康な感じよりも、パッと目につく美しさや可愛らしさに価値が置かれたかもしれません。

その結果、極端な「やせ体型」がSNSなどで“映える体型”として評価を得るようになり、そのような体型になりたいと願う人が増えたのでしょう。

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“映え体型”の先にある摂食障害

2022年は、「やせ」を追求するあまり、周囲からのアドバイスに耳を傾けず摂食障害の範疇に入ってしまった人が多かったと聞いています。
日本摂食障害協会が全国の小中学校などに勤務する養護教諭に対して実施したアンケートでも、約6割が学校で摂食障害に対応したことがあると回答しています。「やせ」を求める傾向は、子どもたちにも増えているようです。
当オフィスでも、摂食に関する悩みで訪れたクライアントさんを、丁寧に医療へ繋げたことが数回ありました。

クライアントさんは「やせ」ていても過活動があり、「私は元気です」と言われます。しかし、人が飢餓状態になると獲物を狩る為に)動き回りたくなるという説があります。また、女性にとって生理が停止する事の意味は「生殖よりも生き延びる」ことを身体が選択したと言えるでしょう。

“身体の器官は連携して生き抜くための方策を取っている”。そのことに驚きと敬意を表したくなりますが、「やせ」たこころは体重計に集中するばかりとなります。
この頑なさが、この病気のやっかいな所です。

そもそも「その人なりの元気」な状態であること、健康であることを保つためには、努力や自分自身へのお世話が必要です。
ストレスがたまる原因には色々ありますが、「元気(健康)であることをより大切にする」と心に決めたら、「活動する」「食事する」「人と関わる」「笑う」、そして「眠る」を実行していきましょう。

(臨床心理士 調)

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