人との関係作り~コロナ禍が子どもたちに与えた影響-福岡臨床心理オフィスの臨床心理士によるブログ-

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
8月も半ばを過ぎましたが、まだまだ残暑と呼ぶには程遠いと感じるほどの暑い日が続いています。
引き続き熱中症には気を付けて、夏を乗り切りたいものです。

さて、毎回“こころ”に関することをテーマにお届けしている当ブログ。今回のテーマは「コロナ禍の影響と人との関係作り」です。特に小学生・中学生のお子さんが身近にいる方には、ぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。

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小1プロブレムと中1ギャップ

ここのところ立て続けに、小学3年生、4年生の子どもたちの「学校での居場所のなさ」や「友人との遊べなさ」の話を聞いています。
あるお子さんは、夏休みに入ってから友だちを誘ったり誘われたりすることがないために、子ども同士で遊んだりはしゃいだりすることがなく、家の中で家族と過ごすことが多い様子です。
他のお子さんの場合では、学校に行くのを嫌がり、特に「自由時間に何をしたら良いのか分からない」という話もありました。

ところで皆さんは、「小1プロブレム」という言葉を知っていますか?
「小1プロブレム」とは、自由度が高い幼児教育から、学びを中心とした小学校教育へと指導が一変する段差を乗り越えられないために起こる、不適合の問題です。席に座って授業を受けられない、集団行動がとれないなどの問題行動が指摘されています。

また、小学校から中学校へ上がる際にも、授業の方法やスピード、生活スタイル、人間関係の変化などに馴染めず、不登校をはじめとした問題が急増する「中1ギャップ」と呼ばれる現象が発生します。

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コロナ禍が子どもたちの人間関係作りに与えた影響

現在の小学4年生は2020年、小学3年生は2021年に入学した子どもたちです。また、思春期の入り口である10歳前後で、コロナ禍という特殊な状況を経験したことは、人との関係作りにも大きな影響を及ぼしていると言えるでしょう。
だとすると、2020年に小学5年生だった現在の中学2年生、小学6年生だった現在の中学3年生にも同じような危険因子が潜んでいます。

それでなくても「小1プロブレム」や「中1ギャップ」があると言われている中でのコロナ禍の体験によって、二重のやりにくさを感じているようです。
コロナの感染拡大防止のために、人との接触や行動が制限されて社会経験を積めなかったことが、子どもたちの人間関係の形成に大きな影を落としているといっても過言ではありません。

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人との関係作りの成功体験を子どもたちに積ませるために

コロナ禍による人との関係作りへの影響を受けたのは、小学生や中学生だけではありません。コロナ禍の中で大学生活がスタートした今の大学3年生・4年生の言動にも、ある特徴があるようです。

新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動制限がなくなって、自由に動いて良くなった現在。大学でも、様々な催しが開催されています。
そのような中で、教員側が学生にイベントの企画・立案をさせて実行させようとすると、物事の起承転結を上手に読むことが出来なかったり、もしもの際の対応策を考えられなかったり、集団をまとめる指示出しが苦手な学生が多く存在するという話を聞きました。

学生たちの多くは態度も行儀も良く、やる気も十分に感じられて「やります」という言葉による意思の表明もあるそうですが、行動に結びついていない印象の子が少なくないそうです。

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これは、コロナ禍の中で集団での経験が積めなかったために、人との関係作りにおける成功体験が少なく、いざ現実的に人との関係を築く場面になって色々と戸惑いや悩みを抱えることが増えたからかもしれません。

さて、そんな子どもたちに対して、大人側は居場所を提供できるでしょうか。
子どもたちの行動が仮に上手くいかなかったとしても「練習して良いんだよ」「失敗しても大丈夫だよ」と見守る、温かい眼差しがあれば良いな、と思います。
人と接して、遊んで、あれこれ悩んで壁にぶち当たる。そして、何かに気が付いてまた人と接する…そのような時間を過ごして欲しいと願っています。

(臨床心理士 調)

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