「HSPだと思う…」とカウンセリングに来所されたクライアントさんのその後は?-福岡臨床心理オフィスの臨床心理士によるブログ-

こんにちは。福岡臨床心理オフィスです。
2月も後半に入り、春の訪れが少しずつ近付いていることを感じる日が増えてきました。
とはいえ、まだ朝晩は冷え込む日も多いので、体調管理には気を付けたいものです。

さて、毎回「こころ」に関する様々なテーマでお届けしている当ブログ。
今回は、最近耳や目にすることが多くなった「HSP(Highly Sensitive Person)」について、綴りたいと思います。
HSPについては過去の記事「HSP(HSC)を自覚したのはどんな場面でしょうか?」、「HSP(HSC)の自覚と対処法」も、ぜひお読みください。

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「自分はHSPかもしれない」と思う人が困っていることは?

「HSP」という概念について、ネットニュースの記事や雑誌などで取り上げられる機会が増え、その特徴を知って「もしかして自分もHSPでは?」と思っている人がいるかもしれません。
当オフィスでも、「自分はHSPだと思うのですが…」とカウンセリングの初回で言われるクライアントさんが増えたように感じます。

ある時、クライアントさんがつぶやきました。
「街にあるスクランブル交差点で、大人数が横断歩道をクロスする時に、動きを小走りにしてぶつかりそうになるのを避けたり、スピードを遅くして他の人が動きやすいように気を遣うのはHSPの人だ」と。
確かに、HSP簡易チェックリストの中にある以下の2つに似たような特徴があります。

・他人に対し、とても良心的である。
・動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している。

(エイレン・N・アーロン博士の日本語訳版より抜粋)

これらのことから、もしかしたらHSPの人々はいろんな場面で先回りして調整しているのかもしれません。
それは、周囲にとってはありがたいことです。

ところで、オフィスに来所したHSPを自認している方には「そういう性質を持っているとして、実際に日常でどのように困っているのですか。」と聞いていきます。

例えば

  • 他人がたてる音(ボリュームの大きなテレビの音・台所でたてる音・ドアの開け閉めなど)に対して苦痛を感じる
  • 人工的な匂い(芳香剤など)や煙草、不潔にしている場の匂いなどが苦痛に感じる
  • 上司や同僚、家族などの態度や言動に対してあれこれ想像して気を遣う、必要以上に脅威を感じる

これらのようなことがあり、集中力が続かなかったり、疲れたり、時には頭痛や吐き気を感じる方もいます。
日常生活で困っていることを詳しく聞いていくことで、クライアントさんご本人なりに考えが整理されていくようです。

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「HSP」を通して自分について深く知ろう

困っている内容をよく聞いていくと、実はその感覚によって「自分が自分らしくいる事」が出来るという長所も含まれることに気が付きます。
そして、困っている内容そのものに対しては、対策を立てることが可能になっていきます。

カウンセリング卒業前になると「HSPであること」の話題はなくなり、
「自分と他人は違うことがよくわかった」
「もっと自分に自信を持って良いですよね」
「疲れすぎるほど気を遣わずに、アサーティヴ(程良く)に意見を言いたいと思います」と、自分についての理解が深まっている様子が見受けられます。

まず前提として、「HSP」は診断名(病名)ではありません。「HSP」の場合、「感覚過敏」の概念が内包されていることがよくあります。

例えば、上にある

  • 他人がたてる音(ボリュームの大きなテレビの音・台所でたてる音・ドアの開け閉めなど)に対して苦痛を感じる →聴覚過敏
  • 人工的な匂い(芳香剤など)や煙草、不潔にしている場の匂いなどが苦痛に感じる →嗅覚過敏

という風に、感覚過敏の概念が当てはまるものが少なくありません

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では、私たち臨床心理士がカウンセリングで何をするのかと言えば、クライアントさんの“困っていること”の聞き取りを通して、クライアントさん本人が自分の性質を知り、受け入れていくプロセスを応援することです。

カウンセリングを受ける入口が「HSP」であっても、カウンセリングを通して“困っていること”が明確になることで、次に取り組むべき課題が見えてきます。
「自分はHSPかもしれない」と思ったことをきっかけに、自分について深く知ることが出来れば、生きやすくなるかもしれません。

(臨床心理士 調)

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